海上コンテナとは
特殊車両通行許可は許可を取ることが年々難しくなっています。
今回は海上コンテナの特殊車両通行許可をとるうえで気をつけたい3つのポイントについて説明します。
まずは海上コンテナについてです。
海上コンテナは国際的に規格化されたものになるので一般的には以下の3種類になります。
海上コンテナの規格
種類 | 20フィート8,6High | 40フィート 8,6High |
40フィート 9,6High |
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外法寸法 | 長さ | 20フィート | 40フィート | 40フィート |
幅 | 8フィート | 8フィート | 8フィート | |
高さ | 8.6フィート | 8.6フィート | 9.6フィート |
この表で一番右の海上コンテナ(以下、海コン)は長さが40フィート(12,192mm)、高さが9.6フィート(2,896mm)という種類で車両の一般制限値を長さ、高さともに超える車両になります。つまり、長さや高さに対して特殊車両通行許可を取らなければならないわけです。さらに、海コンの場合は積載物もたくさん積むので重さも一般制限値を超えることが予想されます。
海コンで特殊車両通行許可をとる場合の難易度について
一般的なセミトレーラーやラフタークレーンなどは一般制限値を長さや重さのみが超えているケースが多いといえます。しかし、海コン(40`9`6Highの場合)は前述したように長さ、高さ、重さ全てが一般制限値を超えるため特殊車両通行許可の中でも難易度が高いといえます。
国道事務所が近年考えている海コンに対する許可制度について
このように海コンの特殊車両通行許可は道路に与えるダメージや事故などの危険を鑑みて審査をする国道事務所も年々慎重になっているといえます。
次から道路管理者が近年チェックしている3つのポイントをあげます。
今まではこのポイントを押さえなくても許可がとれておりました。しかし、最近は今までのやり方では通用しないケースも多いようです。そのため今まで許可がとれていたとしても更新や変更が出来ないことも増加することが予想されます。
当事務所が経験した海上コンテナで許可をとる際の3つのポイント
1.経路はふ頭からふ頭でとる
本来特殊車両通行許可の経路は出発地から目的地までをしっかりとらなければなりません。しかし、道路便覧に載っていないような道路は審査が必要になり、審査の結果によっては不許可になることだって十分考えられます。
そのため、出発地と目的地周辺があまりにも経路が複雑になる場合はある程度道路を整理して申請することが一般的だといえました。つまり、国道や高速などに道路を絞り、それらの道路の路線上に任意の出発地と目的地を作っていたわけです。
特殊車両通行許可の取り締まりは圧倒的に高速が多いので申請者の方からみれば高速さえ許可があればいいと思われるわけです。経路を高速や国道のみに絞れば原則不許可にはならないのでこのように経路をとる方は非常に多くいます。
しかし、このようなやり方は通用しなくなっていると当事務所では考えております。それはある国道事務所の担当者から、「なぜ海上コンテナなのに出発地がふ頭じゃないんだ」と指摘されたことがきっかけです。今までは海コンを申請する場合でも出発地と目的地が経路上に問題なくあれば許可はとれていました。それが最近になって海コンが実際に走行するか・しないかという予想を元に審査されているように思われます。
もちろん、海コンの全てが出発地あるいは目的地をふ頭にする必要はないと思います。ただし、今まであまりにも実際に利用しない出発地と目的地で経路がとられていたため国道事務所も厳しく追及しているのではないでしょうか。
2.往復申請が基本
経路は往路と復路の2種類あります。往路もしくは復路だけの申請を片道申請、往路、復路の両方を申請することを往復申請といいます。
ところで特殊車両通行許可の往復経路は案外面倒くさいものになります。往復とは往路の出発地が復路の目的地になります。そのため、往路で通行した道路をそのまま復路でも使用しなければなりません。
例えば、往路で左折したある交差点は復路では右折しなければなりません。しかし、この時に交差点が右折禁止だった場合はその経路は往復申請できないということになります。同じような理由で道路の場合は高速の出入口の違いや中央分離帯の存在などで国道事務所が合理的に考えて往復できないと判断した場合は往復申請ができないことになります。
これらの事情から今までは往復申請があやしいと判断した場合や迂回経路が見当たらない場合などは、とりあえず片道申請をしてその場をしのぐようなことが出来ました。しかし、最近はこのことについても国道事務所側は「海コンの場合は往復が基本、片道では許可はだせない」という見解があるようです。理由としては海コンの場合はコンテナの規格が同じで、長さや高さに関しては積載物に関係なく一般制限値を超えているのが理由だそうです。
今までは片道で許可がとれていた分、今後は変更申請や更新の際にも注意が必要になってくると思います。
3:最終的には国道事務所に相談する
今まで国道事務所の審査が年々厳しくなっていると書きましたが、そもそもきしんとした経路をとらなかった申請者側に責任があることを忘れてはいけません。これからはきちんとした経路を作成しなければなりません。
しかし、一方で許可がでるまでに時間がかかりすぎているという現実もあります。申請をしてすぐに修正点を指摘されれば正直な申請書を作成して提出すると思います。ところが審査開始まで1ヵ月以上かかり、そのうえで差戻しになるのであれば許可を取りやすい経路を作成してしまうことも考えられます。この点については国道事務所側も十分理解していることだと思います。
そこで何かしらの事情で一般的な経路を取れなかった場合は事前に国道事務所に確認することをお勧めいたします。国道事務所は決して悪魔ではありません。話を分かっている方が実に多くいます。当事務所でも差戻し案件をその場で修正して頂いたことが何度もあります。
このことがあなたが海コンで特殊車両通行許可をとるための一番の近道だと思います。